自筆証書遺言とは?公正証書遺言との違いや要件、注意点について解説します!

遺言/相続

家族が亡くなった際に、遺産について揉めてしまうことが少なくありません。そういった事態を回避できるように、「遺言」を作成しておくことを推奨致します。

遺言には「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」と「公正証書遺言」の3種類があります。それぞれの遺言形式に長所と短所はあります。

本記事では、自筆証書遺言のメリット・デメリットや作成時の注意点等について解説致します!法務局で自筆証書遺言を保管してもらえる制度もあります。是非ご確認ください!

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言は、遺言書全文を全て自筆で書く遺言書です。自筆証書遺言をワープロなどを用いて作成した場合は無効になります。費用もかからず、作成にあたり証人も不要になるため、いつでもどこでも手軽に作成する点が魅力です。

その反面、遺言書が効力を持つことができるように法律で厳格に書き方が定められています。要件に該当しない場合は、効力をもたなくなるため注意が必要です。誤字や脱字にも注意をしておく必要があります。

自筆証書遺言 民法第968条
①自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違いについて

秘密証書遺言については、実務の観点からはほとんど活用されていません。そのため、今回は自筆証書遺言と公正証書遺言の違いに着目していきたいと思います。それぞれの違いや特徴は、以下の通りになります。

公正証書遺言の特徴
証人は2人以上必要になる
遺言書を作成する人は公証人である
公証役場に手数料を支払うため、作成費用が発生する
原本は公証役場が保管する。写しは本人や遺言執行者が保管する
偽造の恐れがない。検認が不要
作成時に公証人と証人に遺言の内容を知られることになる。

自筆証書遺言の特徴
証人の存在は不要になる
遺言書を作成する人は遺言者本人である
作成費用は発生しない
原本は本人や専門家が保管するか、法務局の保管制度を利用する
遺言書の内容を秘密にすることができる。気軽に書き直すことができる
紛失や偽造の恐れがある

自筆証書遺言の注意点について

自筆証書遺言は自由度が高い一方で、民法で定められた要件を守らないと法的効力を持たなくなります。自筆証書遺言の作成時に注意をすべきポイントは以下のとおりです。

◯遺言者本人が全て自筆で記入する(※財産目録等についてはこの限りではありません)
◯作成した日付を自筆で記入する
◯訂正時には訂正印を押し、訂正箇所を明確にする
◯名前の後に印鑑を押す

2019年の民法改正により、財産目録に関しては署名押印を自筆で行う以外の要件が緩和され、書式が自由になっています。パソコンで作成をしたり、専門家に財産目録を代筆してもらうこともできます。

自筆でない財産目録は、各ページに署名・押印をする必要がありますのでご注意ください。

「作成した日付」は正確に記入する必要があります。「令和7年7月吉日」などの記載方法では正確な日付がわからないため、無効となります。遺言書として有効か否かを判断するために、日付の記載は必ず確認されます。記載されている日付が新しいものが最新の遺言者の意思が記載されたものとして判断します。

自筆証書遺言の訂正時は、訂正したい本文に二重線を引き、側に訂正後の文字を書きます。その後に、訂正した部分に訂正印を押します。そして余白に、訂正内容についても記載しておきます。

要件を守れていない遺言書は無効になってしまうので、専門家に書き方等の相談をしておくことを推奨致します。

自筆証書遺言作成の流れについて

自筆証書遺言を作成するにあたって遺言として記入してもよい内容なのかを確認しつつ、遺留分の内容についても留意をしておきましょう。

①財産目録を作成する(財産の把握)
財産に関する資料を用意し、遺言内容を考える
③遺言書を記入後、封筒に入れて封印する

行政書士、司法書士、弁護士などの専門家に公正証書遺言の作成を依頼すれば、必要書類の収集や公証人との打ち合わせをすべて任せられます。
また、遺言内容の提案や他の相続対策との組み合わせも提案してもらえるため、自分の希望に合う相続を実現しやすくなります。

まとめ

自筆証書遺言の作成について、知人や友人などに相談することもできますが、専門家である行政書士・司法書士・弁護士を行政書士に作成してもらうほうがスムーズです。証人は責任も伴うので、知人に無理を言って依頼することは得策ではありません。

相続手続きは行政書士等の相続の専門家に相談してみましょう。必要書類の収集から遺言書の作成、証人の手配、亡くなった後の遺言の執行までサポートすることが可能です。弊所は柔軟性や丁寧さに加え、フットワークの軽さにも自信があります。煩わしい手続きは専門家に任せていただけると幸いでございます。ぜひご相談ください!