遺言書が無効になる場合とは?その6つのケースについて解説します!

遺言/相続

遺言書を生前に書いておくことで自分の希望に即して遺産を相続させることができます。しかし、遺言書として認められる要件を満たしていない場合は、無効になるケースも少なくありません。

また、遺言書の形式は有効であっても、その作成にあたって被相続人の本意ではないと疑いがある場合についても、相続人は遺言書の無効を訴えることもできます。

本記事では、遺言書が無効になってしまう6つのケースについて解説していきます!ぜひ、ご確認ください。

遺言書が無効になるケースについて

①作成時に遺言者の意思判断能力がない状態で作成された場合

【遺言能力】民法963条 
遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。

遺言書を作成する際に認知症などで判断能力を失っている場合は無効になります。具体例としては、認知症になってしまい判断能力を失ってしまった場合が考えられます。認知症症状の程度はさまざまですので、「認知症だから遺言能力がない」というわけではありません。

遺言能力については、「遺言当時、遺言内容を理解し遺言の結果を弁識し得るに足る能力」と表現される事が多いです。遺言者の年齢や病状を含めた心身の状況や遺言時及びその前後の言動等、諸般の事情を総合的に考慮して判断されます。

判断能力を失ってしまった場合は、遺言書作成を含めた法律行為ができなくなってしまうため、注意が必要です。

②公序良俗に反する場合

【公序良俗】民法90条
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

遺言の内容が公序良俗に反するものの場合は、無効になります。具体的な例としては、不貞相手に対して遺贈する場合になります。「不倫相手に全財産を相続させる」といった内容の遺言書を遺していた場合は、無効になる可能性があります。

もっとも、不貞相手に対して遺贈すれば必ず無効になるというわけではありません。個々の事情を基に判断することになり、公序良俗に反しないと判断される場合もあります。

③錯誤や詐欺、強迫により遺言書を作成した場合

【錯誤、詐欺又は強迫】民法95,96条
◯意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

錯誤や詐欺、脅迫により遺言書を作成した場合、遺言は取り消すことができます。これらの恐れがあるとして無効を主張する場合に、遺言者が亡くなっている以上「遺言能力の有無」を証明することが非常に難しいです。

④遺言書が偽造されている場合

偽造されたものの場合は当然に無効になります。遺言書の偽造は相続欠格事由に該当するため、相続人としての権利を永遠に失います。錯誤や詐欺、脅迫をした場合も相続欠格事由に該当します。

【相続人の欠格事由】民法891条
次に掲げる者は、相続人となることができない。
詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

⑤遺言書の方式に不備がある場合

自筆証書遺言の場合、遺言者自らが手書きで作成する必要があり、PCやワープロで作成されたものは無効となります。財産目録について、目録部分については手書きである必要がなくなりましたが、目録以外については手書きで作成します。日付については正確に記載しているか、氏名の自書が抜けていないか、押印がなされているかを必ず確認しておきましょう。

遺言書の加筆や修正についても、修正方法があります。これらを無視した場合は改ざんされた恐れがあるとして判断されることがあります。

こちらの記事にて、詳しく解説しておりますので是非ご確認ください!

⑥証人不適格者が立ち会っていた

【証人不適格者】民法974条
次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
一 未成年者
二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
三 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

公正証書遺言もしくは秘密証書遺言を作成する場合には、作成には証人が立ち会うことを要件としています。

ただし、未成年者もしくは推定相続人、また公証人の関係者などは、証人となることができません。もし、遺言書の作成に証人不適格者が立ち会っていると、その遺言書は無効となってしまいます。

検認手続について

遺言書は家庭裁判所へ検認手続きを行い、開封することが法律にて定められています。もし、検認手続を経ないで開けてしまったとしても、ただちに遺言が無効になるという事はありません

ただし、公正証書遺言、もしくは法務局に保管されている自筆証書遺言の遺言書情報証明書には検認は不要です。

詳しくはこちらの記事にても解説をしていますので、ぜひご確認ください!

まとめ

遺言書の作成・証人について、知人や友人などに相談することもできますが、専門家である行政書士・司法書士・弁護士を行政書士に作成してもらうほうがスムーズです。証人は責任も伴うので、知人に無理を言って依頼することは得策ではありません。

相続手続きは行政書士等の相続の専門家に相談してみましょう。必要書類の収集から遺言書の作成、証人の手配、亡くなった後の遺言の執行までサポートすることが可能です。弊所は柔軟性や丁寧さに加え、フットワークの軽さにも自信があります。煩わしい手続きは専門家に任せていただけると幸いでございます。ぜひご相談ください!