遺言書の検認とは、故人が生前に遺言書を残していた際に、遺言書を発見した人や保管していた人が家庭裁判所に提出し、相続人立会いのもとに遺言書の内容を確認することを指します。
公正証書遺言の場合は不要になりますが、①法務局での保管制度を利用していない自筆証書遺言と②秘密証書遺言は発見後に検認手続きが必要になります。
この「検認」手続きとは一体何なのか、注意点について解説致します。
遺言書の検認とは

遺言書の検認とは、遺言書の発見者や保管者が家庭裁判所に遺言書を提出し、相続人立会のもと開封し、内容を確認することをいいます。
この「検認」の機会を設けることで、相続人全員に対し、遺言の存在と内容を知らせることができます。また、遺言の内容を明確にし、紛争を回避することにつながります。
公正証書遺言の場合は作成手続きの流れを鑑みて、これらのリスクが非常に少ないと判断できるため検認手続がありません。一方で、自筆証書遺言(法務局での保管制度を利用していない場合)と秘密証書遺言についてはリスクが有るため、検認手続が必要になります。
遺言書の検認手続きの流れ

遺言書の検認手続きが終わると、検認済証明書が交付されます。相続人立会いのもとで遺言の内容や日付などを裁判官が読み上げて確認していきます。
検認手続の流れ
1.遺言書を見つけ、遺言の形式を特定する
2.検認手続が必要な場合に、申立てに必要な書類を収集する
(申立書、戸籍謄本等)
3.家庭裁判所へ申立てする
4.検認期日の調整をする
5.家庭裁判所で検認を行う
6.検認済証明書、(遺言書の原本)を受け取る
検認の申立てをする際に、相続人を特定するために「戸籍謄本」を収集することになります。被相続人の場合は死亡時から遡って出生までの戸籍謄本を取得する必要があります。そして、相続人全員の戸籍謄本を収集する必要があります。なお、申立先となる家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所になります
検認済証明書は金融機関の手続きや不動産の相続登記において必要になるため、大切に保管しておきましょう!
検認手続きを行わなかった場合は?
遺言書の検認手続きを行わないと相続手続きを進めることができません。また、検認前の遺言書を開封すると5万円以下の過料が科されます。ただし、開封したからといって遺言書が無効になることはありません。
民法1004条
遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
民法1005条
前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。
検認に関する注意点について

誤って開封した場合でも、必ず検認をする必要があります。検認前に開封したからと言って、遺言書が無効になることはありません。相続人としての地位を失うこともありませんので、冷静に対応することが重要です。自筆の遺言書を発見した場合は、すべて検認手続きをしておくことがおすすめです。
また、故意に遺言書を隠したり、破棄や改ざん等をした場合は、相続人としての権利を失うことになります。ご注意ください!
まとめ

公正証書遺言の作成・証人について、知人や友人などに相談することもできますが、専門家である行政書士・司法書士・弁護士を行政書士に作成してもらうほうがスムーズです。証人は責任も伴うので、知人に無理を言って依頼することは得策ではありません。
相続手続きは行政書士等の相続の専門家に相談してみましょう。必要書類の収集から遺言書の作成、証人の手配、亡くなった後の遺言の執行までサポートすることが可能です。弊所は柔軟性や丁寧さに加え、フットワークの軽さにも自信があります。煩わしい手続きは専門家に任せていただけると幸いでございます。ぜひご相談ください!


